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シェフオオシマの住宅雑記帳

シェフオオシマの住宅雑記帳

第1~4回

第1回 トイレ空間を見直すのだ!
第2回 居間不要論
第3回 でっかいテーブル一つで
第4回 階段だって主張するぞ!

★【第1回 トイレ空間を見直すのだ!】

 トイレ空間を見直して考えて見ませんか…というのが今回のテーマです。
間取りをしていていつも思うのですが,居間,食堂,寝室などを大きくとりたいというとき犠牲になるのがトイレ、洗面,浴室の水廻りです。仮に居間が10帖,トイレが1帖の設計だったとします。思い切って トイレを倍の2帖 の大きさにしたとして考えてみましょう。

 このとき居間がその分9帖になったと想像してみてください。家具の配置にもよりますが居間が1帖狭くなっても、居間に入ったとき
「ああ狭い。9帖を10帖にしとけば」
と1帖の大きさの違いが実感できる人は少ないでしょう。
逆にトイレが2帖になったら…そうですこれは はっきり広さを感じるでしょう。
しかし「そんなに大きなトイレは必要じゃない」
  …こんな声が出るのもわかります。

 ここからが「考え方次第の部分」です。私なら書斎,喫煙室としてトイレの用途を
増やして考えてみるかな?お父さん最近 どこでたばこ吸ってます?。又来客の多い家ならカウンター付の手洗い,壁には、大きなミラー、テレビでも置いちゃおうか?

 子供用のギャラリーもいいな。もちろん収納は いやというほど できるしね。

トイレ


 また介護関係の本によりますと便器横の50cm、前の50cmのスペースを推奨しています。車椅子を使ったとき手助けするのに必要なスペースということです。「現在なかなかそんなスペースはとれないよ」と思われる方でも当初は余裕のスペース、必要時に 簡単な改装で介護対応がお勧めかな。


★ 【第2回 居間不要論】

 現在までいろいろな住宅を作ってきましたが,まずは『間取りは4LDKで居間は10帖の大きさで…』と居間ありきで話が始まることが多いです。 
 昔は居間というより茶の間,又は応接間という表現,用途であったと思います。

 戦後の欧米文化の渡来,TVの普及により外国ドラマたとえば「奥様は魔女」なんかを茶の間で見て広いリビングのソファーに深く腰を下ろしながら会話している…そんな生活をあこがれて夢見ていた人がきっといたと思います。
 今はその当時の間取りに近くなっています。しかしその使い方は… 
 実際極端に言うと単なるTV部屋になっているじゃないかな。 
ここで日本のテレビドラマを思い出してください。

マルコ

NHKの朝の連続ドラマ,寺内貫太郎一家,巨人の星,ちびまるこちゃんなどなど家の中の場面では食事のシーンがほとんどで居間のシーンは昼のよろめきドラマぐらいしか思い出せないでしょう。(星さん宅に居間があったかどうかは突っ込まないで下さい)

 日本の団欒は食事空間にあり。 現在の使い方では居間は死んでいる? 
お父さんが家に帰ってきて食事をするとき子供は居間でテレビを見ている。
たとえ同じ空間の中でも広い空間の隅で疎外感を感じることがありませんか?
 会話がありますか?(自分の家庭のことを言ってるだけかって…ノーコメント)



 そこで提案♪ 
思い切って居間と名のつく部屋を無くしてみたら…と思うのです。
もし3帖分でも使えるなら食堂,階段,洗面,書斎,家事室,廊下…居間以外の空間が劇的に変わることさえあると思います。その中で私が一番提案したいのは食事室をその分大きくするって事かな。
 しかし単なるTV部屋と思ってもそれだけでは居間を無くす事はなかなか踏み切れないもの。又それだけで団欒が作れるのかといわれるとやっぱり不安ですよね。次回は食事室を取り上げ、どうすれば居間より魅力的な空間になるかってことを考えたいと思います。

★【第3回 でっかいテーブル一つで】

前回のテーマは居間不要論でした。 
今回はそれに絡んで食堂をテーマにしました。
居間不要論の賛同者が居間スペースをなくした分、それ以上に豊かな生活を得るための一番手始めの方法として、食堂空間を変えましょうというお話です。

 第1歩としてでっかいテーブルをまず置く事から始めましょう 目的はそのテーブル及びその周りをすべてなんでもありの空間にしてしまうのです。 当然食事空間として,家事室,勉強部屋,書斎、ギャラリー、TV室、パソコンルーム,…いろいろな使い方ができるよう大きなサイズのテーブルを置くのです。

 そしてテーブルから手の届く場所にその収納スペースをできるだけ用意するのです。部屋の大きさは居間の無いぶん10帖とったとしましょう。 テーブル廻りに収納をいろいろな目的に合わせて作ってしまうのです。もしあなたが家事室としての機能をもとめるならアイロン,アイロン台,家計簿,裁縫箱,掃除機などなどがテーブルに座ってて手の届く範囲にあるのはどうでしょう。
大テーブル


 子供さんが宿題をしやすいように絵の具箱,習字道具,今ではパソコンも要るのかな? 教科書も置いてもいいんじゃないかと思ってます。 (子供室でおとなしく勉強している家庭は非常に少ないかと思うのですがあなたのお宅は?) 新聞,雑誌,本,TEL(FAX),定期,家の鍵,ハンカチ,印鑑,爪切り,トランプ,花札,百人一首,人生ゲーム,リカチャンハウスETCも手の届く範囲に欲しいもの。もちろんTV、オーディオもテーブルから見やすい場所に確保はしなくちゃね。

 とにかく皆が何をするにしたってそのテーブル廻りで始まるようにするには最低限大きなテーブルは必要というわけなんです。なんとなく皆が集まってしまうそんな場所造り。

 広いLDがあって家族が集まっていても人と人との心理的距離感は決して近くないはず。 空間としては広すぎない方が団欒の作りやすいスペースになるはず。 よく考えてみれば茶の間なんです。今の時代に合った現代風茶の間的空間として食堂を変えてみてはいかがでしょう。

 また面積に余裕がある場合たたみを敷いてサンルーム,広縁,外部利用としてウッドデッキなども連続した空間としてみては?
 2FにDKをつくりベランダを大きくというときに居間空間をなしにして広いベランダを活用してもらっています。

 また窓が食事空間に近くになるので当然室内が明るくなる,風通しも良くなりやすいって事が言えますね。 逆に大きなLDKを作るときいつも考えるのは明るさ,風通しをとるためにどうしようかと頭をひねりますものね。 

★【第4回 階段だって主張するぞ!】

階段で一番大事なことは、何といっても安全性です。家庭内の死亡事故の原因の第1位は階段での転倒によるものなのです。

 平成12年の建築基準法改正では階段内に手すりの設置が義務つけられました。現在は手すりがあって当たり前。
『当社はバリアフリー標準で階段に手すりが付いています』と威張っている会社があったなら気をつけるように。
それは付いていないと法律違反だからなのですよ!

 住宅金融公庫,年金融資でもバリアフリー融資の条件においても階段の仕様が関係してきます。踏み面の奥行きが広くても逆に基準外になるんですよ。これは以外ですよね。
勾配はゆるければゆるいほどいいと思いがちですものね!

そういう私も、実際に市街地の設計ではぎりぎりの設計になりがちです。ここも少しサイズを大きくしてみては?が今回のテーマです。

 ただやたら大きくするのも…ということで他の用途と併せて考えてみましょう。
やはり最初には収納を考えますね。そして2階に洗面台が欲しいけどという方は小洗面台を階段の踊り場に置くのはどうでしょう?本棚を一面に作ったこともあります。

 収納を併設する一番のメリットは階段の壁に収納を設置すると、本を取り出すスペースと普段歩くスペースがお互いを兼ねる事ができるということです。

 室内に本棚を置いた場合を想像してみると、室内に本を取り出すために空けておくスペースが結構増えて、部屋は広くても収納量が逆に減ってしまうこともありうるわけです。(このあたりの話は収納論でいずれ詳しく)

 又副次的なメリットとして考えられるのは、階段下の利用法です。現在階段下は収納としての利用と、トイレを配置する場合が多いと思われます。
階段廻りスペースが増えると当然階段下のスペースも増える。するとトイレにしても収納にしても空間が豊かになるのです。

 収納として考えたときは、『開かずの間』というか奥に入っていけないので、奥にあるものは何年も取り出せないことになっていませんか?これが広がりを持ったとき、中に人が入れるようになって、使いやすい収納になる可能性があります。

 余談ですが、逆に階段幅を広くしないでといわれたことがあります。
普通は階段幅を広くして『開放感を...、大きな手すりがつけやすい...、荷物を運びやすい...』と利点を説明したものです。

 ところがあるお客様に言われてハッとしました。
いわく『幅が広いと上り下りが怖く感じる。手を伸ばしたときに壁に手が届きやすいほうが安心感がある』とのこと。

 『!...』しばらく言葉が出てきませんでした。
バリアフリーがどうこう言う部分でなく、個人の感覚の多様さ、加齢対応=バリアフリーとは必ずしも...と考え直させられる瞬間でした。



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